岬なこさんの1st LIVEから考える3つの“世界”

2023年の最後に岬なこさんの 1st LIVE Nice to ME to YOU の感想を残しておこうと思う。1年間に50以上のイベントに参加しながら碌なアウトプットをしない僕が何故この公演(埼玉および大阪)に対してだけ筆を執ろうと思ったのか、その理由はこのライブの途中に披露された朗読パートにある。

そのストーリィは決して目新しいものではない。まず人生の歩みが以下の3つの“世界”として表現されている。

  • 無限の可能性に溢れているように感じ“好奇心の絵の具”と共にあった “最初の世界”
  • 周囲との関わりの中で自分を見失い毎日がつまらなくなってしまった “二番目の世界”
  • 苦しみを分かち合える他者(みんな)と出会ったあと、再び“好奇心の絵の具”を抱きしめ歩んでいく “これからの世界”

例えば白パケエロゲーでよくある展開だ。出会ったばかりの頃は元気そうだったヒロインが実は悩みを抱えており、それが何らかの現実問題なって表層化し主人公たちを襲うが、それを愛の力で乗り越えてハッピーエンドという具合だ。

だが、そんなことをわざわざ言うために滅多に書かないブログを書いているのではない。

言及したいのは“これからの世界”の話だ。結局人生は一人ではなく誰かと一緒にここに辿り着けるかどうかなのだ。そして往々にして“最初の世界”と比較して“これからの世界”は矮小化されている。後者の“世界”は主として自分の周囲で完結していることが多いからだ。しかし幸福とはそういうことなのだ。“好奇心の絵の具”は決して一色や一種類ではないのだ。

最後にライブの話に戻ると、この朗読パートのあとに僕の中で2023年トップの名曲『群青セツナ』が披露される。失恋ソングとして受け取っているが、この歌詞に出てくる主人公は“これからの世界”にまだ辿り着けていないのではないかと考えている。それ故に“二番目の世界”からずっと抜け出せない僕は共感を覚えてブッ刺さっているのかもしれない。

永遠を信じ 描いた物語 叶わないのに それでも望んだ